トロメーオ

昨日は、ヘンデル協会主催のオペラ、トロメーオを観に行った。

 

最初の声楽の先生のお嬢さんである「村谷祥子」さんが、トロメーオの妻役をやるというので応援もかねて。

実は90才を超えた師匠が元気なうちにご挨拶に行きたいねと、同門の友人と話をしていた矢先、お嬢さんのオペラ出演の話があり、これは是非とも行かないとと楽しみにしていた。

 

ヘンデルのオペラを観たのは初めて。オペラアリアは私もいくつか歌っているのだけど。

今回のオペラは、古楽器を使った古楽風の演出だが、独特の世界観があった。

エジプトが舞台なのだけど、衣装は18,19世紀風。これはモーツアルトのオペラ?という感じ。

上野の文化会館の小ホールなので、こじんまりとした舞台でどうするのかなと思っていたら、舞台装置も最小限、演技もパントマイム風で動きは少ない。

ただ、その演出が変わっているから余計に印象に残るというもので、これもありか・・という印象だった。

(後で友人が調べたら、バロックジェスチャーというのがあるらしい。能のように動きが少なく動きに型があるもので、様式美とでもいえばいいのかな)

 

なにより、ソリストたちの歌は素晴らしく、どの人も低音から高音までなんの力みもなく開いたよく響く声で朗々と歌う。2重唱も美しいハモリで堪能した。

 

帰りは、祥子さんにも、先生を含む彼女の家族にも会えてお話をし、とても懐かしかった。90才を超えた師匠もお元気で、「あら、懐かしいわねえ、お元気でいてね。」とのこと。東芝府中工場から仕事帰りにレッスンに通った日々を思い出した。レッスンを始めたころ、祥子さんはまだ中学生だった。今はそれより大きくなった子供たちの母でもある。

 

歌からつながった人の縁は多くて、その一つ一つが大事な思い出だ。

 

そういえば・・・

村谷さんは、最初の先生が、佐竹由美さんだったが、その佐竹さんが昨年胃がんで亡くなったというのを一緒に行った友人から聞き、ショックをを受けた。

佐竹さんの先生は、峯貞子さん。芸大生になってからの村谷さんも峯先生の門下生だったが、とっても厳しかったそう。佐竹さんもレッスンは厳しかったそうだ。

でも、その厳しさあっての透明感のある声と表現力の豊かさ。

一度、メサイアの助っ人で急遽川越教会のコンサートに参加した時、リハーサルでのソプラノソロの説得力に感動し、誰?とプログラムをチェックしたら佐竹さんだった。

他のソロとは別格の音楽だった。

村谷さんも、神奈川県のコンクールで新人賞をとり、そのご褒美コンサートで聞いた別宮さんの「さくら横丁」が絶品だった。私はその後、この曲で彼女の歌を超えるものには出会っていない。

 

レッスンって、1:1なので、全面的に先生の影響を受ける。

 

峯貞子→佐竹由美→村谷祥子 このラインの透明感と表現力。今は村谷さんだけになってしまった。