ひょんな出会いが始まり

昨日は、国立能楽堂で能鑑賞。

佐久間二郎さんという観世流能楽師主催の三曜会の公演で、演目は「融」。

他にもいくつかの仕舞と、野村萬斎さん一家の狂言六地蔵

毎回、初心者にもわかるように、演目の丁寧な解説付きプログラムにいつも感動する。

今回の「融」は、僧と老人(幽霊)だけのわりと地味な演目だが、老人がかっての姿で現れて仕舞を舞う後半のお囃子がすごく激しくて驚いた。能管の鋭い音が印象的。

 

私は旦那と付き合いはじめて能を知った。それまでは全く知らない世界。旦那に連れられて、年に1度くらい薪能をみたりしていた。

その後、会社を休職して通った国立音楽院で日本音楽に出会い、講師の桜井真樹子さんから、能のワークショップに誘われ、その流れで、女性能「刀塚」(創作)を上演することになる。1年間、仕舞と謡の特訓。

能は見るとやるとでは大違い。やったら日本人のDNAが目覚める。友人はこれでとっぷりと能の世界へ。

 

私が歌にハマったのも、ちょっとした出来事だった。大学生になったばかりの頃、五月祭を見に行った時「オケと一緒に歌ってみませんか」と声を掛けられ、「行きます」と即答、練習を見学に行ったのが「フィル唱」だった。カリスマ性がある故山口貴氏の指揮に魅了され、シンフォニックコーラスにとっぷりハマった4年間。日本初演の現代曲も沢山歌った。大学卒業後は個人レッスンにもつき、仲間たちと自主公演のグループを立ち上げる。

 

仕事もそうかな。最初は数学の教師で地元の高校に戻る予定だったが、何としたことか、教育実習の申込日を1週間間違えていた。それで、仕方なく就職活動を始めるが、当時は女子の技術職の就職は厳しく悩んでいたところに、社員募集のはがきが舞い込み、一応面接に行ったら社長が「君おもしろいね、とるよ」と即決。当時は小さなソフトハウスだったが、意外にもプログラム作りは自分に向いていた。

結局、67歳になる今も、細々ながらプログラムを書いている。人生わからないものだよ。

 

まあ、人生こういうひょんな出会いで展開していくものかもしれない。向こうからやってくるものは、実は必然なのかもと思う今日この頃だ。