父の思い出

・帰省時は迎えの父が駅におり今は「おかえり」と兄の声する

 

父が元気なころは、帰省するといつも駅に父が迎えに来てくれていた。

何時の汽車と言ってないのに、車で待ってくれている父がいた。

父を見送り、しばらくはグループホームの母を、兄と変わりばんこに帰省してみていた。だんだん歩けなくなり、一人で家に連れて帰るのは危なくなり、兄夫婦とタイミングを合わせて帰省するようになった。最近は兄夫婦が先に帰っていることが多く、「おかえり」と迎えてくれる。

誰もいない実家に帰るのはとてもわびしかったので、兄たちの声を聞けるのは嬉しい。

父は物静かな人であった。私は母とばかりしゃべり、母が通訳のような役目であった。結構こういう家庭は多いのでは?と思う。

父の介護をし始めて、帰省のたびにデイサービスや医者に連れて行くようになると、小学校の教師であった父の教え子や同僚という人とばったりあって、愉快な先生だったとか、優しい先生だったとか父の話を聞いて、私は親の事を何も知らなかったなあと思うことが多かった。

父は俳句と古文書が趣味で、先日帰省して父の部屋を片付けたとき、ごっそりと資料がでてきた。かなり捨てたけど、父が足しげく通って集めた資料はさすがに捨てれず、ほこりをかぶったまま残している。

服や本などは捨てるしかないが、日記、アルバム、趣味の諸々は最後まで残りそうだ。