先日、イランの作家で「悪魔の詩」の作者であるサルマン・ラシュディが襲われたというニュースが流れた。
1988年に出版された、イスラム教の預言者ムハンマドに関するこの本は、評価が高かったが、イランの最高指導者ホメイニ氏が、イスラム教を冒涜するとして、作者に死刑宣告をしたため、本人は命を狙われて隠遁生活を余儀なくされ、翻訳者の何人かが殺害された。
日本語に訳したのは、当時筑波大の教授であった五十嵐一先生。大学のエレベータホールで首を刺され亡くなった。
当時、私は所属していた合唱団がらみで五十嵐先生とは面識があり、ニュースが流れたときは耳を疑った。彼はイスラム学者であった。
とても愉快な方で、仲間内のオペラコンサートにも出たりしていた。
当時、英語版のこの本を、たまたま会社の上司が持っていて借りたのだが、読み切れずに挫折したのを思い出した。
何で五十嵐先生まで殺されないといけないのかと、理不尽さに憤ったが、30年以上たって本人がいまだに付け狙われていたんだとぞっとした。
でも、結局何が問題だったのかを知らずに語ることもできないなあと思い、機会があればしっかり読んでみなければと思った次第。